市長選真っ只中の石巻市内に1枚のビラが配布されている。文面は以下の通りだ。
〈共産党による 共産党のための 共産党市政=亀山市政 中国、ロシア、ベトナムなどの急速な発展が示すよう 共産党主導の市政が現実となれば 石巻の発展も期待できます。 亀山ひろしさんをどうぞ応援してください。 私たちの石巻に 全国で初めての共産党主導の市長が誕生するまでもう少しです! 皆さんのお力で ぜひ共産党が躍進する石巻をつくりましょう! 亀山ひろしさんをよろしくお願いいたします。〉
内容を素直に受け取れば、共産党が配布したものと思われるし、一方では「ほめ殺し戦術」かとも考えられる(但し、小誌が調べたところ、土井喜美夫陣営は関与していない)。 ただ、中身は間違ってはいない。亀山紘氏が当選すれば、共産党よりの市政運営が行なわれる公算がある。 亀山氏を支援しているのは、日本共産党東部地区委員会、衆議院選自民党候補者、自民・民主党の県議、土井喜美夫市長に対立する市議会野党会派議員19人、反土井市政の市役所OBなどで、政治理念・政治信条お構いなしの、まさに「野合の衆」だが、この中で「亀山氏と政策で一致した」として支援しているのが共産党である。共産党は組織体制が固まっており、選挙にも積極的に運動することからして、亀山氏にとっても頼りがいのある集団なことは間違いない。 どの選挙でも共産党が訴えているのは「清潔・公正・市民にあたたかな政治」というもので、具体的な政策として必ず「生活弱者にやさしい福祉・医療・教育の充実」を掲げる。 それはそれで結構なことだが、問題は「生活弱者を救済するためにどうするか」ということである。共産党は「公共事業などのまちづくりのための整備事業を削減し、その分の予算を生活弱者のための福祉・医療・教育に回せ」と主張する。 この主張は耳ざわりが非常によい。しかし、現実問題として、生活弱者を救済するためには、企業・一般生活者がある程度豊かになっていなければ、できない。救済するための財源は企業・一般生活者が納める税金しかないからだ。 ところが、現在の状況は深刻な不況のために企業・一般生活者が喘いでいる。生活弱者を支援するためには、まず企業・一般生活者を健全にする必要があるが、共産党はそのことには触れず(考えていないのか)、弱者支援を唱えている。 亀山氏も「やさしい政治」を掲げていることから、当選すれば共産党に連動した市政運営をしていくことになりそうだ。 亀山市長が誕生すれば、必ずや石巻市の財政は破綻するだろう。弱者に手厚い支援をするということは、それだけ社会保障分野の予算が増えることになり、現在の税収額からすれば起債という借金が増えることになる。同時に、これまで土井市政が苦労してきた83億円の借金の削減、まちづくりのための施策・整備事業も頓挫するだろう。 「弱者にやさしい政治」は当然必要である。政治の根本と言ってもよい。しかし、「弱者優先」は往々にしてバラマキ型の行政になり兼ねない。そのことは歴史が証明している。 財源が乏しい中で市民のための行政運営をしていくためには、村井知事が推進している「富県戦略」に代表されるような企業誘致や産業創出など、経済政策を最優先していく必要がある。 土井市長はそれを少なくともやってきており、その結果も出てきている。 共産党と連携する亀山氏が市長になったとき、企業誘致に応じる企業がどれだけあるだろうか。 冒頭のビラには間違いがある。それは「中国、ロシア、ベトナムなどの急速な発展が示すよう、共産党主導の市政が現実となれば、石巻の発展も期待できます。」という文章だ。 中国・ロシア・ベトナムが発展しているのは確かだが、それは共産主義だからではない。経済政策について資本主義経済を導入したからである。それまでの国営型では製品開発・市場開発ができないことから、資本主義経済に移行させ発展してきたのだ。 社会保障についての共産党の考え方は支持されても、共産主義者の経済活動・経済政策は全く無視されているのが、世界の趨勢である。 首長は保護士ではない。将来を見据えて施策を実行していく行政・経済実践者である。共産党が主導する亀山氏では石巻経済が良くなるとは思えない。