創刊第2号 1−2ページ掲載記事             #1 #2 #3(2001.11月)

藤井流政治
の本質は何か
 
 小紙は前号で「浅野県政2期8年」を検証した。 医療・福祉・産業など各分野について、浅野県政がこれまで何を成し、その結果がどうだったかを分析したものだが、政界及び各分野の関係者の評価は予想以上に低かったと言える。今号では視点を変えて「浅野政治」とはどのようなものなのか、その本質を探ってみたい。
 
 #1 
 

 今回の知事選に向けて、浅野史郎知事は決意表明と公約を打ち出した。その概要は「私が知事をやっている限りは、宮城県を準用財政再建団体に絶対転落させない。財政再建の道筋をつける」と述べ、今後の基本政策として「21世紀型豊かさの実現」「宮城らしい教育の確立」「ものづくり産業の再生」「個性ある地域づくりによる郷土自慢」「県財政の再建と県庁改革の徹底」の5点を提示。 この基本政策の具体的に取り組むテーマとして46項目を掲げている。
 一見したところでは、百科事典にも似た実に壮大・総合的なものだが、政界関係者からは呆れ果てたような感想が早くも洩れている。  「一言で言えば大風呂敷を広げただけ。数値目標が全くないし、政策を具体的にどう進めていくかという戦略がない。何よりもこの政策を推し進めるための財源をどうするつもりなのか。絵空事の政策であって、お得意のパフォーマンスなだけだ」(自民党県議)
 「赤字再建団体に転落させないとは、よく言えたものだ。財政危機宣言をしてから丸2年間というもの、何も手を打ってこなかった知事が、今になってやると言っても、信じられない。公約も選挙向けでしかなく、こんなその場しのぎのやり方は、県民を愚弄するものだ。知事はペテン師としか言いようがない」(共産党県議)
 このレポートは「浅野流政治の本質」を探っていくものだが、実は「浅野流政治」の特徴として真っ先に挙げるべきものは、この「場当たり政治」「思いつき政治」である。 傍証を以下に挙げてみる。  浅野知事は「福祉先進県」を標榜し、「福祉は産業になる。福祉産業の育成を支援していく」と述べた経緯がある。では県がどのような支援を行なってきたか。福祉産業が創出されたろうか。支援も創出も皆無に等しい。 逆に医療・福祉予算は減少している。

 また、知事は商工労働部・農政部・水産林業部の3部を統合し、産業経済部を設置。この狙いを「これまでの単眼的な機能から、産業全体を見据えた複眼的・一丸的な機能組織に改めるため」と強調した。では機能が発揮されているか。発揮されているなら、産業振興の芽が育っているだろうが、現実には宮城県の第一次・第二次産業は疲弊し、県内の倒産件数は増大。新規産業も生まれていない。産業経済部の職員からは「一丸的な機能など、とてもとても。タコ足配線のようです」と嘆きの声が洩れている。
 ちなみに、この産業経済部構想は、三重県の北川知事の発案を浅野知事が真似たもの。宮城県に馴染むかどうか、腰を据えた検討なしに突き進んだ。「思いつき政治」の典型である。  まだある。知事は「宮城県を『食材王国』にしたい」と述べ、今年度から「食材王国推進事業」を打ち出し、その一環として「おいしい地域づくり」を実践。各市町村に事業プランを募集した。県が市町村に事業説明したのは6月中旬。申請の締め切りは7月6日。この間、1カ月もない。

 このため「こんな短期間では食材王国どころか、インスタント料理しかできない」との声が挙がった。と同時に、食材は四季折々のものということから「来年も事業の募集をしてほしい」との要望が出た。これに対して浅野知事は「来年度以降の募集は考えていない」。では知事が掲げた「食材王国の推進」とは何だったのか。これなども「思いつき」「場当たり的な政治」としか思えないだろう。  こうした例は拾い上げればきりがない。そして知事のこうした「短絡的な発想」に翻弄されているのが県庁職員である。ある県議は言う。「行政で大事なことは継続性だ。 そして継続させるためには、吟味した政策が欠かせない。浅野政治にはそれがない。打ち上げ花火のように華やかだが、上げてしまえば、それきりだ。県民はその花火の賑やかさだけに目を奪われ、内実を知っていない。知事に振り回される職員にしてみれば、目先がコロコロ変わり、落ち着いて仕事ができないのではないか」−−と。
 「職員及び県庁内部に活気がない」とは多くの人が指摘することである。 実際、足を踏み入れればわかるが、県庁内で明るさ、笑顔を見るのは稀れである。浅野知事は「県庁はサービス業だ」と語っているが、明るさ・笑顔のないサービスというのは、存在し得ないだろう。

 
 
創刊第2号 1−2ページ          #1  #2  #3