07.12.28
次期選挙と浅野史郎氏のこと
国会議員のパーティーが11月から12月にかけて開かれている。この時期の開催を恒例にしている議員もいるが、敢えてこの時期に行なう議員もいる。「衆議院の解散前に資金集めとアピールを兼ねているのだろう」と政界関係者は解説してくれた。
その解散時期がいつになるのか。福田首相は「来年度の予算編成後」と言い、古賀誠・選挙対策委員長は「任期満了までしなくてもいいのでは」と述べている。
与党からすれば、選挙をできるだけ先延ばししたいことは頷ける。小泉旋風後の次期選挙で議席を減らすのは分かりきっている。ある閣僚の秘書によれば「小泉チルドレン約80名のうち3分の2は落選するだろう」と読んでいる。公明党も先の参議院選挙で凋落し、まだその建て直しができていない。福田政権が「選挙管理内閣」の性格もあることからすれば、負けるとわかっている選挙を急いでやる必要はない。
一方の野党にしても、議席を伸ばせる保証はどこにもない。「先の参議院選挙は自民党にお灸を据えようとして、民主党に票が集まったもの。民主党に政権を任せられるか、不安がある」という声は少なくない。それに自民との大連立騒動に伴う、小沢一郎代表の辞意、留任で、はしなくも民主党は「小沢商店」なことを白昼に晒した。「政界の壊し屋」をトップに戴き、憲法改正、日米安保など、考え方が異なる会派・グループの寄り合い所帯の民主党に「国政を任せられるか」という不安は常につきまとう。しかも小沢氏自身が「政界再編論者」なことからすれば、今後民主党がどうなるかわからない。迂闊に政権を預けるわけにはいかないし、民主党の動向をもう少し見ておく必要がありそうである。
こうしたことを勘案すると、「解散・選挙は意外に遅くなる」(政界関係者)との読みは正鵠を射ているようでもある。
次期選挙の宮城県について言えば、自民党は6区すべての候補者が決定している。民主党は2区と6区が未定で、恐らく来年早々には候補者が決まるはずだ。
注目されるのは2区である。事情通によれば「これまで5人の名前が挙がったが、それらは全部ナシ。6番目の候補者が本命らしい」と言う。もっとも、それが誰なのかはわかっていない。
選挙というと、浅野史郎・前宮城県知事の去就が話題になるが、どうやら民主党2区の候補者にはならないらしい。その根拠はいくつかある。
第一は、小沢代表との手打ちがなされていないことだ。浅野知事の再選のとき、当時、新進党党首だった小沢氏は「党として推薦したい」と申し出たが、浅野氏はそれを蹴った。以来、両者の関係は悪い。先の都知事選で民主党は浅野氏を支持したが、これには小沢氏は関わっていない。小沢氏は都知事選を菅直人・副代表に任せ切りだった。浅野氏が民主党公認候補になるには、小沢氏との関係を修復しなくてはならないが、「好悪がはっきりし、一度根に持つといつまでも引きずる」小沢氏と、「プライドの高い」浅野氏が手を握るのは難しいだろう。
第二には、浅野氏は「陣笠議員」になるつもりはさらさらないことだ。年齢も還暦を迎えたし、プライドも高い。浅野氏の肚は「かつての竹中平蔵氏、今の増田寛也氏のように、民間から一挙に閣僚になることだ」と言われる。しかし、その線はすでに立ち消えた。だからこそ都知事選に出馬したのだ。都知事になれなかったから、60歳過ぎて民主党の一年生議員になり、幹部に顎で使われることに、浅野氏の性格が耐えられるとは思えない。
第三は、浅野氏は住民票を仙台市から横浜市に移していることだ。といっても、住まいは仙台にもある。ただ、住民票を移したということは、横浜を本拠地にしたということであろう。
以上のことからすれば、浅野氏が宮城県から衆議院選に立候補する可能性はなくなったと見られる。
では、国政に出る気はないのか。実はその可能性は十分にある。
その根拠の一つは、知事時代の盟友だった高知の橋本大二郎氏が知事を辞職し、次期選挙に出馬すると述べていることだ。橋本氏は高知県から無所属で出ると言い、「同志を募って国政に風を吹かせたい」と述べている。
浅野氏が出馬するとすれば、同じように無所属で「知事連合」のような形をとる可能性が最も高いのではないか。「政党に立ち向かう」形の無所属での立候補は、パフォーマンス好きな浅野氏にふさわしく、得意のお祭り形選挙にも合致する。
横浜市は仙台より都会であり、浮動者票が期待できる。しかも浅野氏にとって横浜市は宮城県知事選に出馬する際、「福祉の浅野を、一時期宮城県に行かせてください」と福祉関係者に呼びかけて喝采・支持を得た因縁の地でもある。住民票を移したのは、国政挑戦のためと言えなくもないのだ。
「宮城県からでも無所属なら同じだろう」という意見もあるだろう。確かに宮城から出馬しても、浅野氏は当選する確率はかなり高い。だが、県知事を辞め、「政治から卒業した」と言っていた人が、一転、都知事選に出た。この無節操さを批判する人はかなりいる。それも、これまで浅野氏を支持してきた福祉関係者に多いし、かつて浅野氏を応援した仙台二高の同級生・先輩・後輩も、今や支持している人は少なくなっている。
浅野氏にすれば、単に当選するだけではダメで、「ぶっちぎり、圧倒的な勝利」を目論んでいる。「これが浅野の選挙だ」というものを見せつける必要がある。それが国政の場での強みにもなると踏んでいるような気がする。
そのためには、少しでも不安要素がある宮城県からの出馬は避けたいということではないか。横浜市では知事時代の能力については知られていないのだ。
もっとも、浅野氏が国政に打って出るためには、二人の承認が必要なはずだ。
一人は、光子夫人だ。都知事選の際は出る、出ないで、と夫婦で激しく言い争った末、最後に夫人が「今回だけ」ということで了承した経緯がある。果たして浅野氏が夫人を説き伏せることができるかどうか。
もう一人は、浅野氏の参謀の田島良昭氏がどう判断するかだ。宮城県知事の出馬、都知事選の出馬と、浅野氏の選挙はすべて田島氏の判断によって成されてきた。国政に出るにしても、田島氏の判断を仰ぐに違いない。
浅野氏は現在、慶応大学教授の傍ら、テレビのコメンテーターとして盛んに登場している。しかし、コメンテーターとしては「賞味期限が過ぎている」との評もある。大学では地方自治を教えているが、浅野氏は学問として地方自治を学んだわけではない。知事時代の経験を教えている。そのためか「理論的な講義になっていない」との感想が受講した学生から出ているとも言われている。そもそも慶応大学が浅野氏はじめ著名人を教授に招聘したのは、「入学者を増やすための人寄せパンダの意味合いもあった」という。
これらのことからすれば、浅野氏が今のような活動を続けていけるかどうかは、未知数である。
いずれにしても、今一度、浅野氏の行動を注視しておく必要があるかも知れない。
07.12.18
もう一つの「地域格差」
11月26日、東京の赤坂プリンスホテルで開かれた、大野松茂官房副長官のパーティーに参加した。大野氏とは縁も面識もないのだが、ある方が声をかけてくれたので、テレビでしか拝見できない国会議員の方々の姿を見ておくのも一興と思い、出かけた。
大野氏は埼玉県選出の代議士。町村派で官房副長官ということもあって、600人余りの人が集まった。祝辞も森元首相に始まり、町村官房長官、伊吹幹事長、中川前幹事長、小池百合子氏など錚々たる顔ぶれが挨拶した。
さすがに国会議員は違うな、と感じたのはそのスピーチのうまさである。
例えば森元首相は「官房副長官は内閣の中でも最も忙しい職務です。服を脱ぐ暇もないほどで、寝るときも背広のまま寝なくてはならない。だから‘『副長官』と言うんです。いずれは副を外すときがくるでしょう」と軽妙な挨拶をする。
続く町村官房長官は「森さんはああおっしゃったが、官房長官の私からすれば、大野さんに副を外されては困る。それだけ有能で私が助かっているからですが、もう一つは副を外されると、私と代わることになり、私が首になる」と受ける。
どの人も話は3分ほどで切り上げる。しかも当意即妙、笑いを誘いながら、主賓の大野氏を盛り立てる。下手な芸人より、話術はずっとうまい。
こうした短い挨拶をするのは、祝辞をする人が多いことと、集まった人たちを長時間立たせるのは失礼だ、という配慮だろう。
一方、12月15日に登米市で行なわれた、小野寺五典外務副大臣のパーティー。祝辞の布施孝尚・登米市長と、乾杯の音頭をとった登米農協組合長の挨拶は長い上に中身もほとんどなく、会場内から「いいかげんにして、やめてほしい」との囁きも出た。
小野寺氏のパーティーに限らない。県内のパーティーの挨拶は長すぎ、つまらないことで共通している。
「地域格差」と記したが、これは都会と地方の差ではない。もちろん、学歴や役職の差でもない。要は気配りがあるかどうかということだ。
政治家の条件はいろいろあるが、やはり大事なのは「思いやり」である。挨拶はその思いやりが端的に表われるものかも知れない。
とは言うものの、やはり挨拶はむずかしいもののようだ。