このコーナーは「コラム」「ミニ情報」に掲載できない編集部のホットな感想を綴っていきます。
2008.1.30
問われ出した首長の経営能力
宮城県が東京エレクトロンとセントラル自動車の企業誘致を決めたことは、二つの面で起爆剤になったと思われる。
一つは、言うまでもなく、産業振興に拍車がかかったことだ。これまで宮城県は産業振興については、施策・目標としては掲げられてきたものの、実行・成果となると皆無に等しかった。個々の企業を誘致できたことはあっても、それが「産業の創出・振興」という段階にまでは至っていなかった。「産業」という幅広い業種・企業群が構築できる可能性を秘めた企業誘致は、恐らく今回が初めてではないだろうか。ある首長は今回の企業進出を「まさに黒船襲来にも似た出来事」と評したが、事実、今後の宮城県の産業振興に大きな一石を投じたと言えるだろう。
エレクトロンとセントラルの進出が、単なる「点」で終えるのか、それとも「面」として形成できるかは、今後の県・市町村の取り組み方による。県は村井知事が「富県戦略」を掲げ、産業振興にアクセルを踏み出したが、県内市町村が同一歩調をとっているとは言い難い。企業誘致、産業振興は一人県だけが行なうものでないことからして、この温度差をどうしていくのかが、今後の鍵を握ると思われる。
今回の企業進出でもう一つ明らかになったことは、自治体首長の経営能力が今後ますます問われるだろうということだ。これまでの自治体経営は極言すれば、税収を上げ、その財源内でやり繰りしていれば、それで何とか収まっていたということだろう。
だが、国も財源がなく、そのため自治体合併を促したものの、それでも国・県・市町村は財源不足に泣いている。こうした状況下で問われるのは上は総理から下は村長に至るまで、首長の経営能力であろう。その中には村井知事が先鞭をつけたようなトップセールス力も含まれる。
セントラルが進出することによって、今後宮城県は市町村のセントラル関連企業の誘致合戦が繰り広げられるだろうとの見方がある。県が調整するとの意見もあるが、各市町村が半ば独立した自治体なことを思えば、県の意向に沿ってばかりもいられるはずがない。その際、未来のまちづくりをどう描き、そのためにどのように経営していくかは各首長の手腕・能力による。
トップの資質の中で最も重要な経営能力について、これまで忘れられてきた感がある。「首長戦国時代」とも言える自治体間競争に突入することは、首長同士の切磋琢磨と能力アップの面で喜ばしいのではないか。