認知症(痴呆症)の人は現在約160万人おり、20年後には倍増すると言われている。多くの人は、認知症になったら治らないものとあきらめている傾向がある。だが、予防できるし、重度になる前なら治せるという。では、どうすれば予防でき、治すことができるのか。認知症予防と治療について取り組んでいるエイジングライフ研究所の高槻絹子副所長が、その方法を教示してくれた。
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〔プロフィール〕
高槻絹子氏は1970年お茶の水女子大学文教育学部卒業。臨床心理士。浜松医療センター脳外科にて脳に損傷を受けた約3千人の脳機能を調査。脳機能から認知症を理解し、早期発見の手法の開発に関与。1997年からエイジングライフ研究所副所長として、認知症の予防・早期発見・治療のためのシステム「二段階方式」を全国的に展開。自治体による認知症の予防活動や回復訓練などの指導・講演を行なっている。 |
認知症、いわゆるボケは治らない、打つ手がないと多くの人は思っています。
でも、よく考えてみてください。きのうまでごく普通に生活していた人が、ある日突然、身の回りのことができなくなったり、家族の顔がわからなくなり、夜中に徘徊したりするでしょうか。そんなことは絶対にありません。これらの症状は重度の「完成された認知症」ですから、確かに回復は困難です。しかし、付き添っている家族の方に聞いてみると、最初に「ちょっとおかしいな」と気づいた軽度の段階から3年以上、ときには7〜8年も経って重度の段階に進行してきたことがわかります。
つまり、認知症は段階を踏んで進行する病気だということです。そして「ちょっとおかしいな」という軽度の段階で早期発見し、治療さえすれば治ります。認知症にならないためには予防するしかありません。では、ボケない生きかたをするためにはどうすればいいのか。これからお話します。
その前に、多くの人の中には認知症=アルツハイマー病だと思っている人がかなりいるようです。これは全く違います。アルツハイマー病というのは、生まれつき異常な遺伝子を持っている場合を言い、一般に50歳前後に症状が現れ、最終的にはボケるしかありません。ボケの症状が出て2年も経つと寝たきりの状態ということがあり、私が知っている一番若い人は34歳でした。
小ボケ→中ボケ→
大ボケと進行する
私がきょうお話するのは「アルツハイマー型痴呆」で、お年寄りが何もしなくなってだんだんボケるというタイプのボケです。これは脳の使い方の問題で、生活習慣病と考えて、治療することも予防することも可能な病気です。
認知症は、その症状の度合いから「小ボケ」「中ボケ」「大ボケ」三つに分かれます。認知症でない正常な人は、家庭生活と社会生活の両方を普通にできるし、行なっています。
それが、家の外での関わりをしなくなる、できなくなる。買物に行かなくなる。楽しんでいた趣味や近所付き合いをしなくなる。あるいは家事をするけど、何か手際が悪い、何かいつもと様子が違う。それまでしっかりしていてテキパキと動いていた人が、他人に言われないと何もしない「指示待ち人間」になってしまった。これが「小ボケ」で、ボケの始まりです。
(以下略) |