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浅野史郎知事の人脈・グループの著名なものとしては「一八会」がある。これは知事の母校・仙台二高OBで構成されているもので、選挙時の運動、知事の講演・著作本の購入など、ボランティア的に活動し、知事を下支えしている。定期的に会合もしており、言わば「知事の親衛隊的存在」である。
一方、こうしたグループとは異なり、それなりの肩書をもって知事と特別な紐帯を築き、県政における知事の政策、県民への知事の売り出し方など、浅野知事の政治全般(あるいは知事個人の生計をも)に深く関わっている面々がいる。奇しくもというのか、意図してと言うべきか、これらの面々が仙台厚生病院(以下「厚生病院」と記載)を運営する「財団法人厚生会」(以下「厚生会」と記載)に集結しているのだ。
別掲の図をご覧いただきたい。一人一人の横顔と知事とのつながりを記していこう。・浅野知事 昭和23年生まれ。仙台二高 東京大学法学部卒業後、厚生省(現・厚生労働省)に入省。障害福祉課長などを経て、平成5年から宮城県知事に。現在3期目。
・目黒泰一郎氏 昭和22年生まれで、知事とは仙台二高で同期(知事は2月の早生まれ)。東北大学医学部大学院卒業後、東北厚生年金病院循環器科医長、仙台社会保険病院循環器科部長などを経て、平成8年仙台厚生病院心臓センター部長。その後同病院副院長兼心臓センター長を務め、平成13年からは厚生会副理事長・同病院長兼心臓センター長。 (注)
「こども病院」は知事・目黒ラインで?
一方、知事も目黒氏に対しては「支援」を惜しまない。その一例が平成13年10月30日に仙台駅前のアエルで開催された「河北医療セミナー 公開心臓病教室」。これは心臓病の予防・検査・手術・治療について目黒氏が講演したものだが、その来賓として浅野知事は挨拶している。県と厚生会はこのセミナーの半年ほど前の平成13年3月30日に「県立こども病院開院準備業務委託契約」(以下「こども病院」と記載)を締結している。知事が来賓として招かれたのはこの関係によるところが大きいことは確かだろう。
だが、そればかりではあるまい。実はこのセミナーで目黒氏は講演するだけでなく、心臓手術の自らの執刀ぶりを公開実況生中継したのだ。厚生病院の手術室にテレビカメラを入れて、その映像を通信衛星を利用してアエルに設置したスクリーンで放映したのである
手術の公開・実況中継など前代未聞だろう。たとえ患者とその家族が承諾したとしても、人倫上の問題がある。そのため、このときの公開手術に対しては医学界からかなり批判があったというし、今でもその是非については賛否両論があるものの、現実にはあまり行なわれていない。
知事は当然、そうした空気を知っていて来賓として賛辞を贈った。このことは目黒氏を「救済する」意思が知事にあったことを窺わせる。あるいはまた、目黒氏が「知事の権威」を利用して、公開手術に批判的な空気を緩和する狙いがあったかも知れない。いずれにしても社交辞令を超えた賛辞は、知事と目黒氏の個人的な深いつながり抜きには考えられまい。
ちなみに言えば、このセミナーは定員800名・参加料無料で行なわれた。光ファイバーを利用した生放送で、かかった費用は約300万円。寄付は全く受けておらず、経費は全て財団法人・厚生会で負担したこの経費を主催者の河北新報社と厚生病院が全額賄ったかというと、そうではなかったらしい。厚生病院(つまり目黒氏)は「医療機器・医薬品メーカーやそのほかの医療関係業者から数百万円単位での寄付集めをした」 (注)(ある医療機器メーカー)という。目黒氏は医術もさることながら「商才」にも長けているようである。
そして、知事と目黒氏の「個人的な深いつながり」がもたらしたものが「こども病院の運営受託」にほかなるまい。
「こども病院」は、県がそれまで三本木町に建設計画を進めていた「保健医療福祉中核施設事業」を、浅野知事が平成11年に「財政難」を理由に凍結(その後平成15年11月に中止決定)した際に、知事が突如としてぶち上げたもの。県立民営方式で行ない、県は総事業費約156億円のほかに、運営費として毎年度2030億円もの補填をすることになっている。このため県議会から「財政難というのに、こども病院を建設するのはおかしいではないか」などの批判が集中したが、知事は強引に推し進め、平成15年11月から開院している。
この運営受託先の選定については不可思議なことがあった。選定委員会が候補としてリストアップしたのは、県福祉事業団・東北公済病院・厚生病院の3機関。このうち福祉事業団は医療ノウハウも病院施設もない。厚生病院には小児科がない。小児科を有し、キャリアがあって対応できるのは東北公済病院だったが、なぜか厚生病院が受託することになったのである。
このため「選定は出来レースで、初めから厚生病院に受託させるシナリオができていた」(病院関係者)という声が今でもある。実は「こども病院」の運営受託については、厚生病院内でもかなり反対があったという。「県立民営方式で運営しているこども専門病院は、全国では茨城県立こども病院と宮城県立こども病院の2カ所だけ(注)。しかも厚生病院には小児科がない。そのため無謀ではないかとの反対意見が結構あった」(厚生病院関係者)。ところが目黒氏は「大丈夫。厚生病院が赤字になることは絶対ない」と言い、反対論を一蹴。「目黒氏自らが中心になって運営受託を進めていった」(厚生病院関係者)と言われている。このことからしても、決定の背後に知事と目黒氏のつながりがあったことは否定できないだろう。
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