| パロス 2006 11月号(第20号) 会員ページ | ||||||
| article3
|
||||||
インタビュー 毛利友昭・藤崎代表取締役専務が語る |
||||||
「中央大型商業施設にかく戦う!」
|
||||||
|
景気が回復基調にあるせいもあってか、イオングループをはじめ中央資本による大型商業施設の出店攻勢が顕著になっている。
大型店の出店は便利な反面、地元の中小小売店を脅かす要因にもなっている。巨大資本の攻勢にどう対応すべきか、 地域の活性化とはどうあるべきか。地元百貨店の雄、藤崎の毛利友昭・代表取締役専務に伺った。
|
||||||
人口減、店舗増で供給過多に── 政府や日銀が「景気は回復した」と言っていますが、実感がありません。本当に回復しているんでしょうか。 毛利 自分たちの所得が増えていないから実感がないけど、間違いなく回復しています。製造業を中心に景気はよくなってきています。実際、旅行に出かける人が多くなっており、旅行業界は伸びています。不景気なら旅行に行けませんよ。だからみんなお金は持っている。藤崎にしても去年の11月から連続して前年比増です。 しかし一方で、小売業界のキャパシティーが大きくなりすぎているために、結果として売上げが伸びていません。ところが、流通業の人たちはそう捉えず、相変わらず「景気が悪い」と言っている。 ──キャパシティーが大きくなっているにも関わらず、大型店の出店計画が相次いでいます。特に市街地開発、郊外の開発というと、必ず出てくるのがショッピングセンター、大型商業施設です。なぜ商業施設なんでしょう? 毛利 私も常々疑問に思っているんです。山林や田畑の再開発というと必ず大型商業施設が造られる。開店すれば必ず儲かるという考えで開発しているんでしょうが、バブル経済が終焉したのち、消費者の所得は伸びていないんです。人口も宮城県は昨年あたりから減少してきています。そのことからすると、経済の原則である需要と供給のバランスは、供給の方が多くなってきています。 (別掲の表を示しながら)人口統計を見ると、宮城県は仙台都市圏ではわずかながらも増えている。平成14年から16年まで約1万人増えています。一方、宮城県全体で見ると、平成14年が約235万9千人に対して、16年は約235万8千人と下がっている。同様に、小売業全体の売上げも1.3%落ち込んでいます。これに対して大型店(3,000u以上)の出店状況はどうかというと、平成14年は89店舗、16年は93店舗で、売り場面積は14年と16年では約5万u増えている。藤崎の売り場面積は3万uだから、藤崎の1.5倍以上の供給分だけ仙台都市圏で増えたことになります。人口が下がりはじめているのに、供給が増えているんです。商業施設がどんどん開発・出店しているから、当然売上げが上がる要素はない。パイの食い合いです。おかげで藤崎では役員だけでなく従業員の給与も伸びていません(笑い)。 ──中央資本は全国展開していますが、その中でも宮城県は特に出店攻勢が激しいです。商圏として魅力があるということですか。 毛利 全国の地域でもそこの一番の都市、北海道なら札幌、九州なら博多という具合に、主要な都市は大型店にとって魅力があります。仙台もその一つです。仙台都市圏は商圏人口が144万人になります。これを中央部、東部、南部、北部に分けると、北部は泉区・富谷・大和・大郷・大衡、南部は太白区・名取・岩沼・亘理・山元、東部は塩釜・多賀城・松島・七ヶ浜になる。東北地方で見ると、宮城県は238万人で、そのうち仙台市が105万人。他の県は100万人台の人口で、それも分散化しています。それからすると一極集中している仙台都市圏は魅力でしょうね。ヨークベニマルさんがこれからも仙台都市圏に出店攻勢をかける計画をしているのも、そうした背景があるからでしょう。 中心部への影響は少ないダイヤモンドシティ ──来年には名取市に東北最大級のショッピングセンター「ダイヤモンドシティー」がオープンします。どう受け止めていますか。 毛利 郊外に大型ショッピングセンターができるとき、「中心部はどうなるか」とよく言われます。もちろん影響がないわけではありません。 大型店に対する対抗策・対応策は商品とサービスの差別化です。藤崎を支持してくださるお客様に、いかにしてこの点においてご満足いただけるかがポイントになります。具体的には、商品面では「ファッション&ギフト」、サービス面では「親切一番店」という強化ポイントを掲げ、郊外店やその他競合店との差別化に取り組んでいます。 かつてダイエーさんが進出したとき、藤崎が維持してきたのは、やはり商品とサービスの差別化を進めてきたからです。消費者は店を価格だけで選ぶのではではないということです。藤崎は創業して187年になるけど、その歴史と伝統を通じて、いろいろなことを経験して今日があります。だから郊外に新しくいろいろな店が出てこようと、いかにしてお客様に支持される商品を取り揃え、接客をレベルアップしていくか。それに尽きます。そのことを念頭において、日々の商売に取り組んでいます。 ダイヤモンドシティーに行く人もいるし、中心部に来る人もいるでしょう。だから、どうやって藤崎にお越しいただくか。あるいは、中心部にどうやってお客様を呼ぶかということが重要になるし、それは個々の店でどうこうできるものではありません。仙台の中心部には7つの商店街があり、これらがどのように協力して魅力あるまちづくりを進めるか。そのことが郊外へ出店してくる大型店への対策になるでしょうね。 ──それにしてもダイヤモンドシティーの規模はすごいですね。建設現場の作業員の人が「広すぎて歩くのが嫌になる」と言うほどですから(笑い)。 毛利 以前、他の都市のダイヤモンドシティーを見たとき、すごいなと思いました。名取市のも確かにすごい。規模が大きいし、ジャスコさん、三越さんという2つの核店舗が出店予定であり、そこにモールがあって専門店が入ります。そのほかにレストランやシネマも入る予定です。つまり、その中だけで消費者は動くことになります。でもそれで消費者がどんどん来店するかというと、そうではないと思いますね。取り敢えずは満足するでしょうけど、街としての魅力を持っていなければ徐々に消費者は離れていくはずです。 仙台市の周辺に大型資本が出店攻勢をかけてきて久しいですが、3年ごとにとられている商業統計を見ると、周辺部から中心部への流入人口が激減していることは事実です。例えば、泉地区には商業施設がなかった時代、日用品でも中心部に買いにきていた人や隣近所で買物していた人が大勢いました。しかし、大型商業施設ができたり、他の店ができたために、わざわざ中心部に来る必要がなくなりました。一方、最近の中心部は、他の都市から流入しています。特に土・日を中心に山形、福島、八戸、秋田からかなり来ています。その方たちがダイヤモンドシティーに行ったとき、自分たちの居住地にも出店している同一の大型商業施設やシネマがあるということになると、何も秋田や山形から来る必要はないわけです。そのことからすると中心部への影響はそんなにないと思います。 イオンの出店攻勢は対外資への「面取り戦略」 ──ダイヤモンドシティーもそうですが、中央資本の出店攻勢で特に名前を挙げるとすると、イオングループですね。 毛利 イオンさんは面取り作戦です。全国の商業拠点を全部抑えて、ある意味では自分のところの売上げが下がっても面を抑えてしまおうという戦略です。これは企業戦略だから、他社がどうこう言えるものではありません。でもそのためにダメになった店、ダメになった地域がかなりあると思います。閉店した大型商業施設に他の大型商業施設が営業を始めたことがありましたが、本来はその地域で必要な規模、売り場面積が限られているはずなのに、相変わらず競争状態が続いている。果して本当にそれでいいのかと思いますね。 ──中央資本は面取り作戦で独占化、寡占化を狙っているんでしょうか。 毛利 独占などできるはずがありません。意識しているのはウォルマートのような外資の日本上陸戦略への対抗策でしょう。ウォルマートの年間売上げは15兆円とも言われており、日本最大のイオンさんでも4兆円ほど。規模の差ではどうしても太刀打ちできないということで、そのために対抗できる規模にしていきたいという考えがあるから、出店攻勢をかけているんでしょう。 例えばジャスコさんは大清水、多賀城、利府に出店しています。大型ショッピングセンターとして同じようなコンセプトで、同じような商品が並んでいる。お客様にとって、これらの店舗間を見てまわる楽しみは少ないと思いますね。イオンさんは全店長に「介助士」の資格を取得させ、高齢者・障害者へ配慮した店舗作りを進めている点では我々も見習うべきですが、品揃えや店舗の演出、販売員のおもてなしなどの点で、買物しなくとも心が豊かになるようなことも大事なんです。買物というのは人間のふれ合いも含めたさまざまな要素がありますから。そうした要素がなければ「商店街」とは言えないと思うんです。 また、夜中の12時までや、中には24時間営業しているところもあります。営業時間の長さは消費者にとって確かに魅力かもしれない。しかし、長時間の営業は、商品の鮮度維持を困難にするし、パート・アルバイトなどが交代で勤務にあたることでサービスレベルを一定かつ高い状態に保てるかというと、いささか疑問が残ります。 ──長時間の営業は確かに便利だけど、人間はあまり便利に流されてはダメです。怠惰になってしまいます(笑い)。 毛利 本当の便利というのは、心のこもったサービス、コミュニケーション、情報提供ということではないかという気がします。私も買物が好きで、魚屋などによく行きます。店主といろいろな会話ができるし、「きょうは何がおいしい」という情報も得られます。それに対して大型スーパー、大型ショッピングセンターは基本的にセルフ販売で、陳列されている生鮮三品などを消費者が選ぶ。これだときれいに見えるけど、それが果しておいしいかどうかはわかりません。つまり消費者は自分の眼で選択するしかない。買って失敗したことを私は何度も経験しているから、恐らく他の人もそうでしょう(笑い)。 地域ニーズに対応していない大型商業施設
毛利 実際、ダメになった商店街はたくさんあります。その典型は福島県のいわき市です。ここは中央資本の出店によって、地元の百貨店が閉店し、個人商店もなくなりました。その後出店した大型商業施設も閉業して、結果的に商業施設がなくなってしまった。それでいわき市の人たちは郡山や仙台に買物に来るようになりました。完全な空洞現象です。 ──地元の小売業は物を売るだけでなく、文化的な役割も担っています。それが中央資本による大型店ができると淘汰されて閉店・廃業ということになります。まちづくりという観点からすると、何かいびつな形になるように思うのですが。 毛利 確かに仙台以外の地方都市では閉店が相次ぎ、シャッター通りの様相になっています。地元の八百屋、魚屋など店を閉めざるを得なくなり、サラリーマン化してしまう。車社会だからそれでいいと言えばそれまでですが。郊外地域はロードサイドにショッピングセンター、レジャー施設が居並ぶけど、これは車で動けるからできることです。でも中心部というのは、車で走るところではなく、歩いて楽しむスペースです。それなくして街とは言えません。 ──こうした大型商業施設を規制するものとして、「まちづくり関連3法」が施行されました。 毛利 確かに歯止めにはなってます。でも郊外に出店する1万u超の分を規制したから、中心部がよくなるかというと、そう簡単なものではないと思います。商店街の課題として、店主の意識不足によって魅力ある店舗が整備されていないこと、消費者ニーズに対応した業種構成ができていないこと、後継者・新規開業者が不足していることなどが挙げられます。例えば、仙台市は旧泉市と合併して百万都市になった。合併前の仙台市、泉市に分かれていたとき、鶴ケ谷団地、旭ケ丘は結構活性化しました。昭和40年代中頃です。しかし当時若かった世代の人も、今や中年・熟年世代になり、その子供たちは郊外に移り住んでいる。そういう地域にニーズに対応した商業施設があってもいいと思うし、なくては困るでしょう。 でも、そんなに大きな商業施設は要らないんです。せいぜい2千u程度の店でいいはずです。というのは、生鮮三品とか日用品は「最寄り品」で、近くの店で買うものだからです。 3万uとか4万uもの商業施設が地域にできると、周囲の小売店はやっていけなくなり、閉店に追い込まれてしまう。そうなると、近くで最寄り品を買っていたのが買えなくなるから、車で別の地域まで買物に出かけなくてはならなくなる。だから「まちづくり関連3法」が1万uで線引きしたことは正しいと思う反面、本当はもっと規制の規模が小さくてもよかった気もします。 出店地として仙台は魅力だが手ごわい街 ──そうした諸々の点を含めて、将来に向けたまちづくりとなると、行政や商工会議所が大きな力になると思いますが。 毛利 その通りで行政と経済団体の役割は大きいです。消費者ニーズに対応した業種構成の整備を進めるためには、事業資金・運営スタッフの充実、市町村のリーダーシップ、中長期的な視点に立った事業の実施などが必要です。仙台市長は「これ以上、郊外にはつくらせない」と言ってます。これは我々百貨店や中心部だけがよくなるために言っているのではなくて、都市機能の集中化により質的な充実を図るとともに環境への配慮も促進したい、ということなんです。大型店の郊外への出店によって、百貨店もなくなり、商店もなくなったら、街としての魅力はなくなってしまいますよ。 ──地方都市の中心部の空洞化現象が顕著になっている中で、仙台は空洞化はしてません。でも大型資本がどんどん参入すれば、これまでの街の雰囲気は失われます。 毛利 仙台の場合は中央資本の大型店出店にとってはかなり手ごわいと思います。例えば名取駅から向こうを見たとき、商業施設しか見えない。この点、仙台は青葉通り、定禅寺通りという素晴らしい並木道、公園・緑地があります。そして中央通りを経た商店街が続いている。これだけの規模の商店街は全国でもないし、美しい景観も魅力です。だから仙台の商店街に来る人というのは、そこに来たくて来るのです。この商店街を歩いて、その中に藤崎、三越さん、さくら野さんがあり、そこに寄ってみてウインドウショッピングするだけでも満足している人が多いと思います。 熊本市は人口60万人で、7万uの百貨店があって少し商店街がある。秋田市も昔は商店街があったけど、今やその面影はない。駅前に大型店があって百貨店があってという感じです。核の店舗はあるが「街」「ストリート」がないんです。盛岡市もそうだし、郡山市、宇都宮市もそうです。仙台くらいの規模の商店街があるところは珍しいんです。 ──商店街の結束力もありますね。 毛利 ただ、この商店街も不動産化している傾向があります。昔からの商店を維持していけなくなっている。そのため店を閉めて土地を貸した方がいいという具合です。問題は貸したとき、この街並みをきれいにすることが大事で、それによって集客力が左右されるということです。ただ、街並みがきれいになるのはいいけど、東京から来た人は「仙台の家賃は高い」と言います。その結果、顧客ニーズに合わない業種が参入している可能性が生じます。そうした業種がどんどん入り込んでくると、商店街の魅力がなくなってきます。今後駅前に大型店ができたり、長町の貨物ヤードが開発されて、ショッピングセンターやモールができ、一番町の商店街に魅力がなくなれば、消費者はそちらにシフトしていくでしょう。そして商店街にテナントが入らなくなれば、当然家賃を下げざるを得なくなります。この点が今後のまちづくりをしていくポイントになるでしょうね。 ──商店街の魅力というのは、一言で言えば「楽しい街」ということですね。 毛利 楽しくない街というのは問題ですよ。今やドラッグストアやコーヒーショップ、アメニティーストア、百円ショップなどのナショナルチェーンがどんどん増えてきています。でも、こうした店ばかりではどうしようもないと思いますね。顧客ニーズと商店街のコンセプトに合致するテナントを誘致するため、日頃から評判店の情報を収集しておく必要があります。もちろん、地元の優良店も重要な候補の一つです。また、私たちは一番町の周辺だけでもいい雰囲気の街にしたいと、できる範囲内で努力しています。 ──具体的にどんなことですか。 毛利 例えば藤崎と三越さんがやっているものの一つに、「一番町祭り」があります。これは11月11日の11時に開催し、全部1になぞらえています。平成10年頃に三越さんと藤崎の店長が、両方の店の全体朝礼で挨拶したんです。そして三越さんの店内案内を藤崎で行ない、藤崎の店内案内を三越さんでやりました。藤崎になくて三越さんにある物があるし、三越さんになくて藤崎にある物があります。それで「それは三越さんにあります」「それは藤崎にあります」、あるいは「商店街のあの店にはこういう品物があります」とお客様には勧めているし、店内案内のところに資料を置いています。これはお客様からすると、異様な風景だったそうです。「すごいことをしているね。感動したよ」と言われました。それもそのはずで、藤崎からすれば三越さんは商売敵。三越さんにしてもそうです。敵同士が手を携えて、お互いの店を案内するんですから、信じられなかったでしょう。 なぜこれをやったかというと、中心部にお客様を呼ばなくてはならないということと、せっかくお越しいただいたお客様が、藤崎にほしい物がないからといって帰られては申し訳ないと考えたからです。今でも毎年11月にやっており、各種のイベントも演出しています。これがよかったんでしょう、一番町の商店街の人たちから「私たちも入れてくれ」と言われ、一緒になってやっています。だから、この中心部の役割をしっかり踏まえて、共存共栄していくことが大事なんです。 求められる高齢化社会を見据えたまちづくり ──そうした中心部・商店街の賑わい、活性を維持していくために、今後どういうことが望まれますか。 毛利 これから重要なことは居住地区をどうするかということでしょうね。仙台市はコンパクトシティーをめざしていますが、それをどうつくっていくのかが課題になります。例えば学校や病院はほとんど郊外に移ってしまいました。こうした公共施設なども中心部に少しづつ集める努力をしていかないと、都市機能がばらけてしまい、中心部に人が寄りつかなくなり寂れてしまいます。それでは何のための中心部か、中心部とは言えなくなります。こうしたことを整備していくのは行政でしかできません。 少子化の中で仙台市に人を集めるなら、中心部に学校を構えるべきです。それを望んでいる人は多いはずです。学校は財政的に厳しいために郊外に移転したのでしょうが、中長期的に見たら、判断ミスであったかもしれません。交通が至便なところというのは、仙台駅中心にできているし、交通網も中心部から張りめぐらされているからです。 ──高齢者への対応も大事ですね。 毛利 うちの店を見ていると、高齢者がものすごく多いんです。この方たちは昔は近くの店で買物していたけど、今は店がなくなってしまった。買物するところがなくなっているから、うちに来ているのです。杖をついて、来るときはバスで来て、帰りは荷物があるからタクシーで帰る。こういう方たちにできるだけサービスを心がけています。 一方、ショッピングセンターは車で買物に来る人が主流です。ところが高齢者は車で行けない。今後、日本の人口は4人に1人が65歳以上になると言われています。そうした高齢化社会を見据えたまちづくりをしていくのも行政の課題でしょう。 ──小売業界ではひと頃「棲み分け論」がありました。百貨店、スーパー、コンビニという業態で役割がそれぞれ違うというものです。その中で百貨店は「価値のある品物を買うところ」という位置づけです。 毛利 これは我々小売業者が決めたように思うけど、実は消費者がそう選択したことなんです。消費者は賢いですよ。しっかりと考えて買物しています。商品によって店を選んでいることは間違いありません。こういう商品ならどこどこがいいとかね。例えば、百貨店で買うものは入学式などの晴れ着やお出かけ着などです。これは子供だけでなく、父兄もそうです。 百貨店は値段が高いけど、品質も確かです。もう一つはブランドです。ヴィトンとかカルティエ、エルメスだけがブランドではなく、藤崎も187年の歴史を誇るブランドです。購入されたお客様がそうした自己満足や誇りをもっています。 ──その典型的なものはお中元、お歳暮です。それが百貨店の包装紙だと、わざわざあそこで買ってきてくれたのかという気になります。 毛利 仮りに同じ品物だったにしても、百貨店には価値、見えない付加価値があります。これがものすごく大事なんです。我々が消費者の心を捉えられないとしたら、これは商品やサービスを含めて、消費者の心理が変わってきているからです。昔と違って腕時計やパソコン、携帯電話は贅沢品ではなくなり、今や日常品になっています。それと今は「物」ではなくて「事」に消費者の目が向いています。それに対して我々は「物」で消費者の心を掴み切れていない部分があり、その結果業績に結びついていません。これは我々の努力不足だし、今後の課題でしょうね。
|
||||||
| HOME |