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前宮城県環境生活部次長
樋口 美智子
アメリカ同時多発テロで思うこと

 アメリカ同時テロとアフガニスタンへの攻撃、そしてタリバーン政権が崩壊していく様は、国際社会がまだまだ無秩序 であることを思い知らされた。また、宗教や歴史的背景、民族の違いによる人々の価値観の相違も目の当たりにした。世 界を一つの方向にまとめていくのは大変難しい。
 こうした状況だからこそ「外交」というものが重要性を増してくると思われる。事実、タリバーン後のアフガン建設、 すなわち戦争後の平和構築は、国連や各国政府を巻き込んでの相当な外交力が必要とされる。特に日本を考えた場合、防 衛力は限られているのだから、国際貢献が可能なのは外交の分野であるはずだ。しかしながら日本は、これまで外交力を 磨くことを怠ってきた。今は外務大臣と外務省の軋轢という異常事態まで発生しているが、力のある外交官を輩出できる よう、外務省も大いに体質改善してもらう必要がある。その意味で、日本の外交力が問われる日米共催の「アフガニスタ ン復興会議」を今後注目したい。ちなみにこの会議の共同議長は緒方貞子前国連難民高等弁務官。私が最も尊敬する女性 の一人だ。彼女は就任と同時に、官僚的かつ硬直的な国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の改革に果敢に取り組み 、自らが現地に飛んで難民救済に尽力した。 逸材だが、こうした人材が実は外務官僚の中に見い出せないことが、日本外交の弱さである。(緒方氏は元私立大学の教 授)
 さらに、日本の外交は戦後ずっとアメリカを向きアメリカばかりと対話してきた感がある。しかしながらそのアメリカ は、日本だけを向いている訳ではない。私はアメリカで勉強する機会があったが、同窓の大学院生の実に半分は留学生で あった。 それもアジア、中南米、アフリカ、中近東、欧州と、全世界から留学生を受け入れている。卒業後席を置いたシンクタン クにしても、世界から研究員を招き、自由な研究の場を提供していた。そのシンクタンクでは、週に一度海外からの研究 者も交え世界情勢についてディスカッションするが、内容が濃く、さながら国際会議を開いているのか、あるいは外交交 渉を実践しているような白熱した雰囲気であった。そこにアメリカの底力を垣間見た思いがした。
 翻って、「学都仙台」に位置する東北大学は、日本で3番目に留学生と海外からの研究者が多い大学だと聞いた。従っ て「国際都市仙台」は夢ではない。このまちで、外交感覚を身につけることも、日本外交に貢献できる人材の養成も十分 に可能である。  自衛隊の海外活動やPKO法の解除などが問われているが、その背景にあるべき外交力が伴わなければ、意味は半減し てしまう。国でも地方でも、日本の国力増進のためには、ソフト・パワーの充実をはかることが欠かせない。
2001.12  第3号掲載
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